マヌカハニーには体に悪影響を与える細菌に対する殺菌作用や整腸作用があり、さらに豊富な栄養素が含まれているため、さまざまな面から私たちの健康をサポートする力があります。
実際に代表的な作用のひとつとされているピロリ菌をはじめとした胃腸疾患の原因菌の殺菌効果や、喉などの風邪症状の緩和など、様々な研究結果が明らかになっています。このページではマヌカハニーの効果・効能についてご紹介いたします。
マヌカを含む「はちみつ」そのものの効果・効能
マヌカハニーは「はちみつ」のうちのひとつなので、はちみつ自身の効果ももちろん持っています。
はちみつは昔から多くの国で薬や食用として重宝していたように、様々な効果効能があると言われています。
- 体内ですぐにエネルギーになる
- 抗菌・殺菌作用
※はちみつにもある。マヌカはさらにMGOがあるからより強い抗菌殺菌作用になる - 胃腸の調子を整える
- 美肌効果
- 更年期障害対策
- 花粉症
- 生活習慣病
- 食べ物を美味しくヘルシーにする
マヌカハニーの効果・効能
胃腸トラブルの原因ピロリ菌の除去
マヌカハニーには独自成分「メチルグリオキサール」が含まれており、このメチルグリオキサールがピロリ菌を除去するという研究結果が報告されています。
まずはピロリ菌とは何かというところから見ていきましょう。
ピロリ菌とは
ピロリ菌とは胃の中に住んでいる、さまざまな胃腸トラブルの原因となる細菌です。日本人の約半数が保菌しており、50代以上の感染率は8割を超えていると言われています。
感染初期では胃炎や下痢を引き起こし、さらに時間がたつと慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどの発生につながる危険性が指摘されています。
さらにピロリ菌は胃のホルモンに影響があり、血糖値の上昇や糖尿病の発症に関与している可能性が指摘されています。まだピロリ菌と糖尿病の関係性は完全に明らかにされているわけではありませんが、ピロリ菌の除去が糖尿病の治療につながると考えられ、さまざまな研究が進められています。
コロンビア大学の研究チームによる研究:「Helicobacter pylori Infection Is Associated With an Increased Rate of Diabetes」
ピロリ菌に対するマヌカハニーの殺菌効果は?
はちみつには過酸化水素という殺菌作用のある成分が含有されているため、世界中で伝統的に薬としても扱われてきました。マヌカハニーにはこの過酸化水素だけではなく、「メチルグリオキサール」という殺菌成分が多く含まれています。
このメチルグリオキサールは他のはちみつにはほとんど含有されていない、マヌカハニー特有の殺菌成分です。メチルグリオキサールは過酸化水素とは違い、体内のカタラーゼ酵素の影響を受けないため、ピロリ菌などの多くの細菌に対して高い殺菌効果があると言われています。
メチルグリオキサールについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
この殺菌効果はマヌカハニー研究の第一人者であるピーター・モラン氏によって研究・実験が行われ、イギリスの医療雑誌“Journal of the Royal Society of Medicine”1994年1月号Vol.87に論文が掲載されたことによって認知されました。
論文では、マヌカハニーが5%以上の濃度のときに、ピロリ菌に対する殺菌効果があることが報告されました。成人の胃液を50mlと想定した場合、マヌカハニーの濃度が5%以上となるマヌカハニー2.5mlの摂取がピロリ菌の除菌に有効であることが記載されています。このマヌカハニーの量はだいたいティースプーンの半分の量に当たります。
ピーター・モラン氏の研究:「Susceptibility of Helicobacter pylori to the antibacterial activity of manuka honey」
薬によるピロリ菌除去のリスク
薬によるピロリ菌の除菌は短期間で効果が期待できますが、強力な薬であるために副作用のリスクがあります。主な症状としては発熱や下痢、味覚異常、肝機能の検査値の上昇、薬疹、アレルギー反応などが挙げられています。
さらにピロリ菌の薬はピロリ菌だけを除菌する薬ではないため、体によい影響を与える腸内の善玉菌までも除菌してしまい、体の不調を引き起こす原因となることもあります。
マヌカハニーには薬のような即効性はありませんが、健康食品であるために副作用が起こる危険性はほとんどなく、殺菌成分が体内のピロリ菌に対して殺菌効果を発揮すると言われています。
整腸作用
腸内環境がよい状態とは悪玉菌の増殖が抑えられ、善玉菌が優位になっている状態です。そのため、腸内環境の改善には腸内の悪玉菌の数を減らし、善玉菌の数を増やすことが必要です。
マヌカハニーの「メチルグリオキサール」という殺菌成分はピロリ菌の他に大腸菌、腸球菌、サルモネラ菌、化膿(かのう)レンサ球菌、黄色ブドウ球菌、O-157などのさまざまな細菌やウイルスに対する殺菌作用が明らかにされており、腸内に生息している悪玉菌に対しても効果・効能があると考えられています。
同時に、マヌカハニーを含むはちみつ自体に含まれている「グルコン酸」や「オリゴ糖」などの栄養成分が善玉菌の増殖をサポートする効果を発揮するため、腸内環境の改善に役立つと言われています。グルコン酸の解説と食べ方のコツはこちらでご紹介しています。
食中毒の予防と症状緩和対策
マヌカハニーの殺菌成分である「メチルグリオキサール」はピロリ菌や大腸菌、腸球菌、サルモネラ菌、化膿(かのう)レンサ球菌、黄色ブドウ球菌、O-157やノロウイルスなどのさまざまな細菌やウイルスに対する殺菌効果が報告されています。その殺菌成分は食中毒の原因となる細菌やウイルスに対しても殺菌効果があると言われており、症状の緩和や予防に役立つと考えられています。
下痢や腹痛などの症状が現れた場合には、マヌカハニーを白湯に溶かして飲むことで、体内に素早く殺菌成分を届けることができます。
また、マヌカハニーの摂取が習慣になると、整腸作用によって腸内環境が整い、その結果として体内の免疫力が強化されるため、食中毒に対する予防効果を期待することができます。
虫歯や歯周病対策
一般的に甘いものは虫歯の原因であり、歯にとってよくないものと考えられていますが、マヌカハニーの主成分は単糖類の「フルクトース(果糖)」と「グルコース(ブドウ糖)」であり、これらは虫歯になりやすい「スクロース(ショ糖)」とは成分が大きく異なり、虫歯になりにくい糖分です。
また、マヌカハニーの殺菌成分はオーラルケアにも有効で、虫歯の原因となる細菌の殺菌や歯垢(プラーク)の減少に効果的であると言われています。
歯垢(プラーク)とは歯の表面に存在する粘着性のある細菌で、長期間放っておくと歯石になってしまい、虫歯や歯肉炎などの歯周病の原因となります。歯周病は口の中だけではなく、心筋梗塞や糖尿病などの全身に悪影響を与える病気の原因にもなるため、マヌカハニーを摂取することは、口腔内の環境を保ち、全身のさまざまな疾患を予防する意味でも非常に大切です。
インドの歯科科学大学による研究:「Evaluation of the effects of manuka honey on salivary levels of mutans streptococci in children」
虫歯予防のためのマヌカハニー活用法についてはこちらでご紹介しています。
口内炎への効果・効能
口の中は食事・呼吸・会話などによって、細菌が侵入・付着しやすい部分です。普段は粘膜で保護されていますが、栄養バランスの悪い食生活や睡眠不足、生活習慣の乱れからくる免疫力低下によって体内のビタミンB群が不足すると、粘膜の保護が弱まり、侵入した細菌が口内の傷に接触することで口内炎となります。
福岡県立大学の研究報告では、マヌカハニーが病原性のない表皮ブドウ球菌に対して抗菌効果を発揮したと結論づけています。
この実験ではマヌカハニーを直接患部に塗ってはいないため、確実に効果があるとは言い切れませんが期待できるとは言えるでしょう。さらにマヌカハニーに含まれているビタミンB群は免疫力を補強する作用があるため、口内炎ができにくい状態にすることができます。
マヌカハニーの美容効果・効能
マヌカハニーには美容に対しても効果的な栄養成分が豊富に含まれています。
マヌカハニーに含まれているビタミンCにはメラニンの発生を抑えて、シミやシワを防ぐ効果があり、さらに腸内の善玉菌の増殖を手助けする「グルコン酸」や「オリゴ糖」によって整腸作用が働いて、肌を体の内側からきれいにする効果が期待できます。
はちみつは保湿力が高く、栄養成分が豊富であることから化粧水やボディークリームなどに含まれていることも多く、マヌカハニーも同様にスキンケアに活用することができます。マヌカハニーを肌に直接塗ることでミネラルやビタミンなどの栄養成分が浸透し、美容液のような働きをしてくれます。
エイジングケア
さまざまな体内トラブルの原因「活性酸素」
「活性酸素」とは体内で酸素を利用して代謝が行われる過程で自然に発生するもので、老化や動脈硬化、糖尿病、ガン、老人性認知症などのさまざまな病気を引き起こすと言われています。
また、美容の大敵であるしみ、ソバカス、シワなどの肌トラブルを引き起こす原因でもあります。活性酸素によりコラーゲンなどのタンパク質の構造体に悪影響が与えられることによって肌のハリや弾力がなくなり、水分量が減って、肌のたるみやシワが目立つようになってしまいます。
活性酸素が増える要因はさまざまで、紫外線や大気汚染、電磁波、喫煙、激しい運動、ストレス、医薬品、加工食品、食品添加物などが挙げられています。
マヌカハニーの抗酸化成分「シリング酸メチル(SAME)」
体内で活性酸素が発生しても、体内の抗酸化酵素が正常に働くことにより体の酸化を防ぐことができ、健康的な体を維持することができます。しかし、年齢を重ねるにつれて体内で生成される抗酸化酵素の量は減少するため、抗酸化酵素をサポートする抗酸化成分を補い、抗酸化力を高めることが必要です。
マヌカハニーに含まれる「シリング酸メチル(SAME)」には抗酸化作用が研究で認められているため、マヌカハニーを摂取することで、アンチエイジングへのサポート効果を期待することができます。
若々しい健康的な体を維持するために、生活環境や生活習慣を見直しつつ、マヌカハニーの摂取を継続してみてください。
外傷の治療サポート
外傷の治療法の中に、湿潤療法という治療法があります。これは体が本来持っている自己治癒能力を最大限に生かす考え方に基づいています。以前は傷の治療は消毒、乾燥が基本だと考えられていましたが、傷口の乾燥はすべての細胞を殺すことになり、返って傷の治りを遅らせてしまう原因にもなるため、その治療法が見直されてきています。
マヌカハニーにはあらゆる細菌に対して殺菌効果があるため、体に悪影響を及ぼす雑菌の繁殖を抑制することができ、さらに保湿効果によって傷口の乾燥を防ぐことができるため、傷の治療に対してサポート効果を発揮することができます。
風邪やインフルエンザの予防・治療サポート
マヌカハニーには他の一般的なはちみつにはほとんど含まれていない殺菌成分である「メチルグリオキサール」と、抗炎症成分である「シリング酸メチル(SAME)」が含まれています。
そのため、風邪やインフルエンザの原因である細菌に対して殺菌作用があり、同時に炎症をやわらげてのどの痛みなどを緩和する効果を期待することができるため、風邪やインフルエンザの予防・治療のサポートができると考えられています。
また、豊富な栄養素が含まれており、食欲がないときでも食べやすいため、療養中の栄養補給に活用することもできます。
マヌカハニーは薬ではなく食品であるため、薬を飲むことができない期間でも摂取することができます。体調不良に備えて、ご自宅に常備しておくと便利ですよ。
マヌカハニーの規格・数値
ここまでマヌカハニーの持つパワー・効果をお伝えしてきましたが、全てのマヌカハニーが同じだけの効果をもたらすものではありません。それはマヌカハニーに含まれる殺菌成分メチルグリオキサールの含有量が、マヌカが生息する環境によって異なるためです。
マヌカハニーは検査方法やライセンスなどの違いから、さまざまな規格で殺菌力を数値化し、等級を分けて販売しています。マヌカハニーを購入する際には、マヌカハニーの規格・数値を理解し、自身が望む水準のものを選ぶことが大切です。
その中でもニュージーランド政府認定の「UMF」、「MGO」、「MGS」の3種類を紹介いたします。
オフィシャル数値「UMF(Unique Manuka Factor)」
「UMF(Unique Manuka Factor:ユニーク・マヌカ・ファクター)」は、マヌカハニーの健康活性パワーを示すために生まれた最初のマークです。ニュージーランドの国立ワイカト大学のピーター・モラン博士がマヌカハニーには他のはちみつには無い優れた殺菌作用があることを発見し、その後、博士によって「マヌカハニー独自の要素」を意味する「Unique Manuka Factor」の頭文字を取ったUMF規格が発表されました。
生産方法や生産者、トレーサビリティに独自のガイドラインが設けられ、それをクリアしたものだけにライセンスが与えられ、高いライセンス料を支払っているメーカーにのみ使用が許可されています。
UMFの数値は、同濃度のフェノール消毒薬の殺菌作用とマヌカハニーの殺菌作用が同じ働きを持つことを意味します。例えば、UMF20+は、濃度20%のフェノール消毒液と同じ殺菌力があることを示し、UMFの数値が高くなるにつれ、その力も強くなります。
UMF値は5以上のものにしか表示できず、10+以上のものは「UMFマヌカハニー」、または「アクティブ・マヌカハニー」としてスペシャルランクとして認定され、殺菌作用が優れたものにはUMFマークが認証の証しとして添付されます。
殺菌力の高さを示す「MGO(Methyglyoxal)」
「MGO(Methyglyoxal:メチルグリオキザール)」とは、マヌカハニーに含まれる殺菌成分です。
2008年にドレスデン工科大学の食物科学研究所所長トーマス・ヘンレ教授の研究によって長年マヌカハニーの殺菌成分として考えられていたユニーク・マヌカ・ファクターが、このメチルグリオキサールであるということが明らかにされました。
この研究の中で、50種類のはちみつと6種類のマヌカハニーのメチルグリオキザール濃度を検査したところ、50種類のはちみつのメチルグリオキサール濃度は3mg程度でしたが、マヌカハニーのメチルグリオキサール濃度は約38mgから761mg/kgまであり、非常に高い濃度のメチルグリオキサールを含有していることが明らかになりました。
MGOマークは1kgのマヌカハニーの中に含まれているメチルグリオキサールの量を示す規格です。MGO100+のマヌカハニーですと、1kg当たり100mgのメチルグリオキサールを含んでいることになります。メチルグリオキサール含有量測定の誤差が少ないため、UMFよりも正確性が高いのが特徴です。
ドレスデン工科大学の食物科学研究所所長トーマス・ヘンレ教授の研究論文:
「Identification and quantification of methylglyoxal as the dominant antibacterial constituent of Manuka (Leptospermum scoparium) honeys from New Zealand」
測定結果の正確性が高い「MGS(Molan Gold Standard)」
「MGS(Molan Gold Standard)」はUMFの規格を作ったピーター・モラン博士が、2010年に新たに開発した規格です。UMFの測定方法に誤差が出やすいことと、ピーター・モラン博士の考えとUMFが違う方向へ進み始めたため、新たにMGSという基準を立ち上げました。
UMFと同様に同濃度のフェノール消毒薬の殺菌作用とマヌカハニーの殺菌作用が同じ働きを持つことを意味しており、MGS10だと濃度10%のフェノール消毒液と同等の殺菌力を持つことになります。
とても厳しい検査となるため、認証までに非常に多くの時間とコストがかかってしまい、さらにライセンス費用が別途発生するため、比較的高価となっています。
おわりに
このページではマヌカハニーの持つさまざまな効果を紹介しました。しかし、どんな食品にも言えることですが、食べ過ぎてしまっては体によくありません。必ず適量を食べるように注意してください。
また、肌に直接塗って使用する際は事前に必ずパッチテストを行って、肌にトラブルが現れないことを確認しましょう。
マヌカハニーは医療現場でも使用されるほど、薬効が認められてきています。しかし、マヌカハニーはあくまでも薬ではなく健康食品ですので、絶対的な効果が保証されているものではありません。マヌカハニーだけに頼らず、健康的な生活習慣を心掛け、サポート役としてマヌカハニーをご活用ください。