マヌカハニーには、殺菌・抗菌作用のある「メチルグリオキサール(MGO)」という成分が含まれています。メチルグリオキサールは、普通のはちみつに含まれる過酸化水素という成分より高い抗菌性を持ち、ピロリ菌や歯周病菌、腸の悪玉菌に有用であることが研究によって分かってきました。
メチルグリオキサールとはどのような成分なのか、また健康増進に期待される効果などについてご説明します。
メチルグリオキサールとは
メチルグリオキサールは、1960年代にハンガリー出身の生物学者、セント=ジェルジ・アルベルトによって発見されました。
メチルグリオキサール(MGO、MG)とは有機化合物の一種であり、生物に備わった「解糖系」というエネルギー生産の過程で作られる物質です。グルコース(ブドウ糖)が分解される過程で生成されます。
また、メチルグリオキサールは食べ物にも含まれており、これを「食物メチルグリオキサール」と呼びます。食物メチルグリオキサールは、マヌカハニーのほか、コーヒーなどにも含まれています。
メチルグリオキサールの性質
メチルグリオキサールはタンパク質と反応しやすく、あらゆる細胞の生育を抑制する性質を持つことから、高い抗菌作用を示します。
メチルグリオキサールが持つ作用
メチルグリオキサールを摂取した場合、その高い抗菌作用によって、ピロリ菌をはじめ、腸の悪玉菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、O-157菌、ノロウイルスなどに有用であることが研究によって分かってきました。インフルエンザのウイルスにも直接作用したという、国内の研究報告もあります。
マヌカハニー独自の抗菌成分はメチルグリオキサールだった
もともと、ニュージーランドの人々は、マヌカハニーを薬のように使っていました。傷口に塗ると治りが早いとか、風邪をひいたときに食べると体調がよくなるなど、薬のような作用があることを実感していたからです。
これに注目した、ニュージーランドのワイカト大学ピーター・モラン博士(Peter Molan)の研究チームが、マヌカハニーにはほかのはちみつにはない、高い殺菌・抗菌作用があることを発見しました。モラン博士は、マヌカハニー独自の成分という意味で、抗菌成分を「UMF(Unique Manuka Factor)」と命名しました、
その後2008年になって、ドイツのドレスデン大学トーマス・ヘンレ教授(Thomas Henle)が、UMFの正体が「メチルグリオキサール(Methylglyoxal)」であることを解明しました。
マヌカハニーは天然はちみつのため、そのときに採取された蜜の状態によって、生成されるメチルグリオキサールの量は異なります。そのため、マヌカハニーは「UMF」や「MGO」といった品質評価基準や規格によって商品管理されています。
マヌカハニーにメチルグリオキサールが多い理由
マヌカハニーは、ニュージーランド原産の「マヌカ」という木の花から採取されます。しかし、マヌカの花蜜にメチルグリオキサールは含まれていません。
マヌカの花蜜には、メチルグリオキサールの前駆体(生成前の物質)ジヒドロキシアセトンが豊富に含まれており、はちみつ(マヌカハニー)を貯蔵する過程でタンパク質など反応し、メチルグリオキサールが生成されます。
マヌカハニーにメチルグリオキサールが多い理由は、ジヒドロキシアセトンを多く含むからなのですね。
メチルグリオキサールの研究:ピロリ菌除菌の例を紹介
メチルグリオキサールの研究ではさまざまな実験が行われ、データが開示されています。こちらでは、メチルグリオキサールによるピロリ菌除菌の例をいくつかご紹介しましょう。
マヌカハニーの研究者である、ニュージーランドのピーター・モラン博士の実験では、5%と10%のマヌカハニーの水溶液にピロリ菌を入れると、72時間で全滅したと報告されています。
モラン博士は一般のはちみつを使って実験もしていますが、一般のはちみつからは抗菌作用が認められず、メチルグリオキサールを豊富に含んだマヌカハニーの抗菌作用が示される結果となりました。
また、イギリスの医療雑誌『Journal of the Royal Society of Medicine』の1994年1月号の報告では、薬剤感受性試験であるディスク拡散法を用いた結果、殺菌成分の濃度が5%のマヌカハニーでピロリ菌が全滅し、殺菌成分の濃度が2.5%のマヌカハニーでも局部的に殺菌ができたという結果があります。
メチルグリオキサールの健康への影響について
2010年に、人間の体内においてメチルグリオキサールの生成量が増えると、動脈硬化や高血圧に影響するという研究結果(※1)が報告されました。
これによって、「マヌカハニーを食べることは体に悪い影響を与えるのではないか?」という不安を抱いた方もいたようです。
しかし、2013年にトーマス・ヘンレ教授の研究によって、食べ物から摂取するメチルグリオキサールに関しては特に問題はないとされています。
※1:平成22年 東北大学大学院医学系研究科による研究報告「糖尿病合併症の進展予測物質を同定」
メチルグリオキサールを摂取するならマヌカハニー
食物メチルグリオキサールはマヌカハニーだけでなく、コーヒーなどにも含まれます。マヌカハニーやコーヒー以外の食品にも含まれていますが、量はそれほど多くありません。
そのため、マヌカハニーは、効率良くメチルグリオキサールを摂取できる食品といえるでしょう。
マヌカハニーの抗菌殺菌効果は、MGOやUMFといった数値が高いほど増すといわれているため、健康維持を目的にマヌカハニーを購入する場合は、MGOやUMFの数値を参考にして、マヌカハニーを選んでみてはいかがでしょうか。